平成21年度「大学教育・学生支援推進事業」情報教育におけるステップ式学習プログラムProgressive Statistical Education Program お問合わせ サイトマップ
 
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統計思考力―あなたが時代を切り拓く―
取組担当者
総合政策学部 教授 藤原眞砂

 現在はインターネットと検索エンジンの発達のおかげで、データや文献を調べることは、昔とは比べものにならないほど簡単になっています。
昔は図書館に毎日通って、目的とする統計データを見つけて、それをメモ、コピーして利用したものでした。しかし、今はキーをたたき、クリックするだけで、官公庁が発表している膨大なデータを取り出すことが出来ます。これまで一部の官僚、研究者だけが利用していた情報が誰にでも手に入れることが出来る時代になりました。これはほんとうに大きな変化です。
 官公庁の膨大なデータを解析するためには、さまざまな表計算ソフトがあります。皆さんが知っている代表的なものはエクセルでしょう。これを利用し、加減乗除的な操作を重ねるだけでさまざまな情報をその中から汲み出すことも可能です。
高校の教科書にも載っている産業構造のデータの分析のはなしをしましょう。浜田市の第1次産業、第2次産業、第3次産業の各産業の従事者数の伸び率の変化や、その産業間の構成比の変化を表計算して、グラフを描いて観察するだけでも、浜田市の産業構造の変化に関して多くのことが分るに違いありません。
 産業・職業構造表というものもあります。どの産業のどの職業に何人の人が働いているかが分ります。これなども2010年のそれから2005年のデータをそのまま引き算すると、正負の数字が計上され、どの産業のどの職業の数が増えているか減っているかが識別でき、有望な産業・職業分野が分ります。
 また、島根県の市町村間の人口移動のデータの様子を分析していくと、どの町からどの市に人が移り住んでいるかも理解できます。この先20年すると移動に伴い市町村の人口規模がどの程度になるかも予想できます。マルコフ連鎖という考え方を学び、使ってみることが出来ます。
 皆さんはこのような統計分析作業は国や市町村の専門家や研究者がやっているから、自分たちが今さら試みなくても良いのでは、と思うかも知れません。しかし、国、市町村の事務職員は一定の期間で他の部署に移動します。統計担当であっても、在任中は国の特定の指定統計の実施と取り纏めに追われ、市町村の施策に資する情報を構築する人的、時間的余裕も少ないのではないかと想われます。政策基盤情報はシンクタンクにデータ加工を依頼して入手する、ということになります。
 統計調査は人口・世帯、家計、社会生活、教育、宗教、就業、賃金、福祉・医療、産業(農業、漁業、工業、サービス、道路)、企業活動(企業活動基本調査、海外事業活動、事業所・企業統計調査)、マクロ経済統計(国民経済計算、産業連関表)など多岐にわたっておこないます。これらの諸統計を政策情報として十二分に使いこなせば、各市町村の施策も随分と説得的なもの、効率的なものになるに違いありません。
 国や自治体に人的、時間的余裕がなく、活用出来ていない重要な統計を、学部の皆さんがエクセルなどの表計算ソフトを駆使して、分析を展開すれば、大きな成果が得られるに違いありません。学生の皆さんには、国や自治体の専門家たちが持っていない時間的余裕という大きな資源を持っています。皆さんが社会に有益な政策基盤情報を汲みだそうと、時間に加えて数にものを言わせて取り組めば、皆さん自身が中核となって、私たちの大学は地域の政策情報発信の一大拠点になる違いありません。
 皆さんは大学で先生方の講義を聞くと、先学たちの知的蓄積に圧倒されて自分ちたちが知的貢献する余地などないと思われるかもしれません。私も学部の時、また大学院のときにもそのような気持に襲われて、自分の無力さに感じ入り、意気消沈したものでした。しかし、コンピュータの登場は既存の学問世界を変える力を持つ、大きなものであるとの確信に私は救われて、新たな歩みを始めることが出来ました。コンピュータは実証的な社会科学研究を推進する大きな力を私たち研究者に与えてくれました。私はコンピュータの発展の恩恵を大いに受け、研究の進め方、生き方そのものに大きな影響を受けた人間です。
 皆さんは一時代前の大型コンピュータに匹敵するような高性能なコンピュータを手にしています。また、ネットで繋がれた向こうには、発掘されるのを待っている膨大な政策情報の宝の山が皆さんの訪れを待っています。そのような宝を一つ一つ見つけ、達成感を味わったなら、皆さんの学習、研究に対する心境は随分違ったものになるでしょう。これまで圧倒され、権威と見えたものが、小さく見えるかもしれません。偉く見えていた先生方の理論やはなしが研究書や新聞・雑誌の受け売りであることに気づくかもしれません。また、データを駆使して論理を展開する講義であっても、人が作った図や表をコピーしてそのまま用いるものがあることに気づくに違いありません。
 データを料理に例えれば、料理を食べる人が圧倒的で、自ら料理を作り提供している人は少ないのです。すなわち、データを自ら作って実証的に論理を展開し、自らの学問的世界を構築している人は少ないということです。みなさんもそのことに気づくに違いありません。自分たちでデータの山から物語を紡ぎ出す面白さを味わったなら、皆さんは新たな「境地」に入ることと想います。そうです、「自らの頭で考えること」の面白さと苦しさです。小中高と知識を取り入れるばかりで、じつはあまり考えないで勉強を続けてきたことが分かるでしょう。あえて覚える必要がないことを詰め込み、それを出来る人間が偉いと思っていた人間評価に関するあなたの価値判断の基準が変わるかもしれません。
 まずは、手はじめに、皆さんが関心を持っている社会学、政治学、経済学、財政学、経営学などの学問分野に関係した統計を探し出し、自らエクセル等で加減乗除の類の操作をデータに加えて見て下さい。あなたは多くのお宝を見つけ出すことでしょう。そのような作業を私たちはGPプログラムの最終段階である、「社会調査法実習」の時間で行います。
 「社会調査法実習」までに、統計学の初歩的な知識が身についていることでしょう。ステップ式学習テキストに従って、皆さんが一つ一つ情報、統計分析のテクニックを身につけていることを期待します。学習に躓いても、めげずにステップを上がって来てください。TAの先輩たちの力を借りて、自分で納得しながら学習を進めて下さい。その時々に真剣に取り組み、大いに悩む必要がありますが、他方で、いま分からないことでも実際の実習作業や仲間との議論の中で分かって来るとの楽観的、余裕のある態度も忘れないで下さい。
 「社会調査法実習」では、高度な統計学の知識はあまり使いません。数学的に込み入った分析をしなくても多くの発見が得られます。確実なエクセルの運用能力を皆さんが身につけていることを大いに期待します。そして、皆さんと「情報教育におけるステップ式学習プログラム」の最終段階である「社会調査法実習」で大きな政策情報の果実を私たち教員と学生の皆さんが一体となって摘み取ろうでありませんか。
 あなたはこのプログラムを修了するころに、確かなデータをもとにした実証的な精神を身につけた、健全な批判精神を持った大学生に変身しているでしょう。そして、人のはなしを鵜呑みにしない、確かなデータをもとにした確実な議論が展開できる、知的に闊達なライフ・スタイルを身につけていることを期待します。
 あなたが他者に依存しない、他者に頼られる、誇り高い独立した精神の持ち主になることが、就職することになる企業で、その後築くことになる家庭において、また住まうことになる地域社会において、また、国家において有為な人間となる基礎である、との自覚を持ってください。一身独立して家庭、企業、社会、国は立つのです。日本の国の再興は皆さんの双肩に架かっているのです。


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